【第97章】悪沢岳:台風一過の暴風圏!体感氷点下の稜線とリーダーの小鳥の話

平成16年(2004年)8月中旬。翌日の赤石岳へと続く連続山行の1日目、荒川三山の最高峰であり、深田久弥が独立峰としての呼称を支持した悪沢岳(東岳)の記録です。西牧ご夫妻にとって97座目となる百名山への挑戦となります。

南アルプス特有のアプローチの長さは相変わらずで、過去の光岳や聖岳と同様に、椹島(さわらじま)までの道のりも大変な苦労だったようです。

今回は台風15号をやり過ごしてからの出発でしたが、山の上には想像を絶する強風が残っていました。悪沢岳から中岳、そして赤石への分岐までの稜線では、風速30〜40m/sとも言われる暴風にさらされ、「立っていられない時が多かった」と記されています。気温は5℃まで下がり、体感温度は氷点下という一寸危険な極限状態。そんな極度の緊張の中で晴れ間が広がり展望が開けたこと、そしてツアーリーダーの重責を慮る一文から、過酷な自然とそれに立ち向かうパーティーの生々しい様子がひしひしと伝わってきます。

山陰となる荒川小屋でようやく無風状態となり人心地がついた際、リーダーの桜庭氏が披露した小鳥の鳴き声(聞きなし)の話に「随分救われた」とあり、過酷な山行の中でのふとしたユーモアと温かい交流に心が和む手記です。

83 悪沢岳 (3141m) 静岡
荒川三山は前岳、中岳、東岳から成るが、深田久弥は東岳自体に独立的な意味を込めて悪沢岳の呼称を支持した。斜面には高山植物が豊富。奥深い位置にあり、歩程は長い。椹島から千枚岳をへて8時間40分。
(※欄外メモ:3141 – 1100 = 2041)
登山適期:①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪⑫(※7〜8が選択)

■ 山行データ

  • 日時: 2004 H16年 8月 18日(水) 〜 8月 20日(金) 晴(強風) (赤石岳と同時)
  • メンバー: ツアー (くらぶ歩きんぐ)、12名 (リーダ 桜庭氏)
  • コース:
    8/18: 椹島ロッジ(5:40) … 吊橋(7:05) … 小石下(8:10) … 清水平(10:30) … 見晴台 … 千枚小屋(泊)(13:00)
    8/19: 千枚小屋(5:00) … 千枚岳(6:50) … 丸山 … 悪沢岳(7:30) … 中岳(9:00) … 荒川小屋(11:00)(昼食) … (小赤石岳へ)

■ 山行日記

  • 南アルプスの山々はそのアプローチが不便で……といわれるが、過日の光岳、聖岳や塩見岳のときも同じ思いをしたが本当に大変である。今回の椹島までのアプローチも大変な苦労だ。
  • 台風15号をやり過ごして出て来たので天気はあまり心配してなかったが風が残っていた。悪沢岳の登りから中岳、赤石への分岐までは強風にさらされた。話では30〜40m/sはあるという。とにかく立っていられない時が多かった。気温も5℃まで下って体感温度は零度を下回るような感じとなり、一寸危険な状態でもあったが、晴れて山々が見えるようになりやがて気温は10℃程度に上った。こんな時のリーダの責任は重大だ。展望は開けた。
  • 山陰げとなる荒川小屋は無風状態となり、ようやく人心地がついて昼食をとった。

登頂 97 座目

  • 桜庭氏の「月日星 ホイホイホイ」(三光鳥)、「焼酎一杯グイーッ」(○○鳥)等、小鳥の鳴き声の話には随分救われた。
    (※欄外メモ1:(井戸氏といっしょ))
    (※欄外メモ2:アルバムNo 205)
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